新学術領域であるサイバニクスを創生し、未来開拓に挑戦し続ける山海社長に、学生がやるべきことをインタビュー!(CYBERDYNE)

今回は、人・ロボット・情報系を融合した「サイバニクス」を駆使することで、超高齢社会が直面する社会課題解決のために、革新技術創生、新産業創出、人材育成を同時展開し、好循環のイノベーションを推進しながら未来開拓に挑戦し続けているCYBERDYNE株式会社に出向き取材をしてきました。取材を受けていただいたのは、同社の山海嘉之社長です。

山海嘉之社長

山海社長は筑波大学大学院の教授でもあり、サイバニクス研究センターの研究統括、未来社会工学開発研究センター長もしています。今回は山海社長に学生の悩みに対して本音で語っていただきました。

インタビュー

ーやるべきことがわからず悩んでいる学生たちへのアドバイスをお願いします。

なるほど、もし深刻に「悩んでいる」という状況でしたら、メンタル的に良くないのでカウンセラーに相談されても良いかと思います。そうではなく、考えても実感としてやるべきことが見えてこないという状況でしたら、アドバイスとしては、「人や社会が喜んでくれることに取り組む」というのではどうでしょうか。それは、継続的な「生き甲斐」や、「やり甲斐」に繋がるものだと思います。もっと具体的にというのでしたら、周りを見渡してみてください。何かの問題を抱えて困っている人や、私たちの社会が抱えている問題が見えてくると思います。それに関わって対応していく取り組みが「やるべきこと」になるのではないでしょうか。また、「夢」をもって歩んでみたいけれども夢が見出せずに焦っている状況でしたら、別のアドバイスをしてみましょう。大人はよく「夢をもて」ということがあります。そうはいっても、自分の夢が見つからない人もいるでしょう。もし、自分の夢が見つからなくてどうしようかと考えている人がいるとしたら、「夢をもって情熱的に歩んでいる人たちと一緒に、その夢を叶えていく生き方も素晴らしいことだと思いますよ」と伝えたいと思います。そうして集まっていく人たちを「仲間」と呼ぶのです。それも素敵だと思いませんか。

「やるべきこと」が今見つからなかったとしても、上述のように「人や社会が喜んでくれるような取り組み」をやっていこうと日常的に考えていれば、「やるべきこと」は次第に明確化してくるでしょう。一つでも何かしら問題を解決しようと思った瞬間に、もう大切な歩みが始まっているのだと思います。

課題発見能力という言葉がありますが、発見しなきゃいけないような課題って、うーむ…どうかと思いますね。人や社会が抱える問題を解決するためにやるべきこと(これを課題という)は、探さなければ見つからないものではなく、目の前にドーンとあって解決するには難しいかもしれないけれど、それは生き甲斐に繋がる価値ある取り組みになるでしょう。

ー目の前にあるのはとても大きい課題なのに、大抵の人は見て見ないふりをしているということですか?

いいえ、一概にそうとは言えないでしょう。目に見えていても、網膜に写っていても、鼓膜に振動が伝わっていても、見えない人には見えないし聞こえない人には聞こえない。それは見ようとする力、聞こうとする力が足りないからかと。どこに問題があるかというと、「共感力」が不足している。まずは、そこでしょうね。それから、やるべきことがわかっていても、難しそうでアクションできないというのもあるでしょう。

将来のことも含めてある程度何をしなければいけないかがわかっていれば、その将来を描いてそれを実現しようと考えれば、学ぶべきこともわかってくる。小学校・中学校レベルの学力があれば本も読めるし計算もできるから、後は自分で学習し工夫し開拓していけばいい。やるべきもの、学ぶべきものは自分で道筋をつけて明確にしていけばいいのです。

自分がどんな道を歩みながら、限りのある命をどういう風に使って生きていくのか。これは大切なことです。命を使う、それを使命というのでしょう。人生は長いようで短い。大学生になるまで待たず、心に灯火がともったらどの瞬間からでも活動していいんじゃないかな。そこから人生をかけたチャレンジが始まることもある。

私の場合、激しく挑戦する日々が続いていますが、「今日も生きたー!」という感じで毎日心地良い達成感の中で眠りに就いています。

ー大学院の進学について、山海社長はどうお考えですか?

基本的に大学院は研究科で構成されていて、研究テーマに沿って修士論文、博士論文を仕上げることになります。それぞれの分野で先進的な研究に取り組むわけですから、大学院生も研究室配属直後の大学4年生もみんな最初は大変でしょう。特に、未開拓領域の最先端の研究だと、教科書や論文から得られる情報が見当たらず、ワクワクしながらも手探りでの開拓が続きます。試行錯誤しながら何か超えられた瞬間に、高揚した達成感が湧き出してくる。大学院という研究主体の教育プロセスを通して、手探りをしながら未来開拓に挑戦する人材が育っていく。丁寧な指導や学会論文作成や発表が繰り返されることによって、知識だけではなく、開拓力、表現力、見せ方力、構成力などが強化されていくという点で、大学院への進学をお勧めしたいと思います。この10年ほどの私の研究室では、学生の半数くらいが博士後期課程(博士)に進学しています。筑波大学の工学系の大学4年生の大学院進学率(博士前期課程(修士))は、ほぼ10割です。

研究水準に関して言えば、突出した企業の研究開発力はハイレベルであり、そういったところで活躍するためにも研究開発者としての基本を大学院で身につけておくと良いでしょう。

世の中には、大学院へ進学するか否かでも悩む人がいます。そのような場合、大学院への進学には限りませんが、私が言うセリフは決まっていて、「悩んだらやめる」です。

僕の生き方に近いけど、物事を何かしようとした時に人間て色々考えることがあって、それは考えると言うことではなく、考えるのと似ているけど、悩むってやつだ。こうしようか、あーしようかどっちの道行こうかって悩む人がいて。で、僕が言うセリフは決まっていて、僕の生き方はこれです。参考までにどうぞっていうのが、「悩んだらやめる。」です。

悩まずに進んでいっても、将来的には何かしら問題が出てくる。もし、悩みを抱えたまま進んでいったとしたら、いつも「あの時、あの時・・・」の繰り返しになると思います。

それから、もう一言。何かする時に苦痛を感じることはしないこと。私のまた別の持論ですが、「苦労であっても苦痛ではない」ということをお伝えしておきます。つまり大変なことはどんどんやったらいい。別にどうってことはない。疲れたら寝ればいいわけだから(笑)。でも、苦痛は心に良くない。

ー先生にとっての苦痛はなんですか?

苦痛(笑)?なんだろね。持論通り、苦痛なことはしていないからね。(笑)

僕は何かをやる時に、何が起きるかを予測しながらやっていくので、そうでない結果が出たら、僕にとっては失敗ではなく発見なんですよ。なぁ〜るほど、こうなったんだ〜って思うのですが、これは「発見」だと捉えています。だから失敗という感覚がないんです。何をするにしても、ものの見方一つで変わるんじゃないでしょうか。

ー文系の人たちがAIやテクノロジーの分野に携わるのは無理なのでしょうか。

いいえ。文理融合はどこでも起きています。2014年に学生4人と私でCYBERDYNEを設立して東証マザーズに上場したら、IPO of the Yearというものを受賞したんですよ(議決権が異なる複数議決権の株式で日本初の上場に成功)。さらにその次の年、一定期間、株主の方がリスクを抱えないようにする株式売買方式を提案し資金調達を実現することで、Innovative Equity Deal of the Year(革新的な株式の取引を発明)を受賞して、世界から4、5時間で416億円を調達。このようなイノベーション推進を支えるために金融分野での工夫・発明は、理系の仕事というよりも文系の人たちとの協働ということでしょう。また、いわゆる株式市場の株価予測とか、法律関連の凡例とか、文脈の意味論などのAI解析・処理という分野では、すでに理系・文系の区別はなく一緒に開拓する時代なのです。

テクノロジーによって社会は変化していくと思っています。私の場合ですと、社会の問題を解決する際に、技術的取り組みと社会的取り組み、そして、未来開拓者の育成を同時展開して、時代に合わないルールをアップデートするために、ルールを作る側にも回って世界レベルで活動をしています。さまざまな革新的サイバニクス技術の研究開発や、社会のルール変革にも挑戦しているのです。

ー山海社長は新人採用時、どんな人材を採用したいと思いますか。

採用面接のときにこういう人がいたんですよ。東大を卒業して、自分の恩師の財団に勤めていたけどその経営が立ち行かなくなり、他のメンバーが抜けていく中で最後まで踏ん張って、結局恩師から「もう十分だからほかの就職先を探してください。」といわれて今日の面接に来ました、って人が。同じ面接の場にいた他の人たちの学歴も基礎能力も似たり寄ったりでしたが、私は迷うことなく彼を採用しました。大正解でした。責任感もあり彼に任せれば安心。ほんとにいい人と出会えたと思っています。

私は、人や社会のことを第一に考え、人間観、倫理観、社会観を柱として、共感力の豊かな人、創造力やチャレンジ精神に富む人、人から愛される人と、これからも出会い続けていけたら良いと思っています。

学生へ向けて

ー将来やりたいことはあるがそのために何が必要かわからない学生へのアドバイスをお願いします。

描いたあるべき姿の未来に立って、今の自分や現状を見つめ、その未来と現在が繋がっていくように未来から現在に向かってバックキャストしながらクリアすべき課題を明確化し、そのために次にすべきことを一つ一つ実行していく。そうしていくことで、着実に目標に近づいていくし、様々な能力が強化されていくことになる。チャレンジしてみてください。

ーこれから志望大学を選ぶ学生へのアドバイスをお願いします。

志望大学を選ぶという発想よりも、志望する分野が大切。自分にとって楽しくワクワクできる分野であれば、自ら学び、自ら工夫することが日常化していくので、気がつくと能力は自然に伸びていくでしょう。どこの大学だって構いはしない。好きなところで思う存分、学び、活動すればいい。「未来開拓の挑戦者たれ!」というメッセージを贈ります。

まとめ

いかがでしたか?山海社長の開拓したサイバニクスは、化学、物理学、情報学など様々な学術の深いところまで学び、組み合わせることで、複雑な社会課題の解決に取り組んでいるらしいです。凄すぎる…インタビューが終わった後少し雑談をしていたのですが、ここでは書き切れないほど素晴らしい学びをいただきました。興味がある方はぜひCYBERDYNEについて調べて見てください。

また、冒頭で説明している通り、山海社長は筑波大学の教授でもあり、サイバニクス研究センターの研究統括もされています。こちらも是非ご参照ください。

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